情報商材屋で働いた話(8) 海外
ネットビジネスで儲けて海外。
パソコン1台あれば世界中のどこにいても仕事は出来る。
クリックひとつで百万円。
よく聞くうたい文句だ。
ビンボーな田舎者だった元ヤンキー男が、ネットで稼いだ金でハワイで豪遊する。
結構なこった。
社長が女と1ヶ月間ハワイに行っている間に売り上げは確実に落ちる。
一度作った商材は継続的に売れる。
仕入れ代も倉庫代もかからない。
つまりほぼ100%がまるまる利益となる。
それが情報商材のいいところだ。
しかし売りっぱなしの情報商材の単価はたかが知れてる。
収益は社長がやる高額セミナーの方が大きい。
1人、数万円から数十万円の参加費をとる。
俺は頭の中で計算した。
オフィスと社長宅の家賃が100万円で年間1200万円。
3人の新入社員の給料が年間1500万円。
ハワイ1ヶ月豪遊2名分が300万円。
社長は365日外食。
服飾品はハイブランドのみ(まったく似合っていないが)
固定費と遊興費を使いすぎだ。
このままのキャッシュフローだと1年持たない。
渋い顔をしている俺が、何を考えているのか気づいたのだろうか。
社長が言った。
「億男さん、海外セミナーやるから準備頼むわ。参加費は一人50万で行く。もちろん、億男さんも同行してよ。オレ、英語まったくできないからさ」
そうきたか。
「はい。わかりました。手配します」
社長の師匠、業界の大物である〇〇〇〇先生も海外セミナーをやっている。
参加費は1人100万円だ。
それでも参加希望者が殺到するそうだ。
まるで宗教みたいだ。
情報商材のノウハウだけではなく、海外セミナーのノウハウも手に入れられるとは、ツイてる。
どうせ、こっちはヒマ人だ。見られるところまで見届けてやろう。
俺は社長から紹介された海外の現地コーディネーターに連絡を取ることにした。
その人のfacebookを見て驚いた。
その人の友達には、〇〇〇〇先生以上の大物が名を連ねていた。
親しい間柄のようでコメントをやりとりしているあとがあった。
スゲーーーーーーーーーーー
一番おいしいのはノウハウじゃない。
人脈だ。
俺は本当にダイヤモンドの鉱脈を掘り当てたのかもしれなかった。
つづく。