情報商材屋になってみた【7】スランプと挫折
俺が情報商材屋になって1ヶ月が経った。
初日からいきなり20万円を売り上げた俺は、数種類の商材を追加で販売し、メールマガジンの配信も始めた。
毎日コンサルティングをし、自分でもいろいろなサイトを見て勉強したり、実験をして知識と技術を蓄えていった。
情報商材販売会社で働いたのはたった8日間だったので、細かい実務はやっていない。
それでも、どんな流れなのか、どんなソフトを使っているかなどが分かったことは大きい。
何よりアホでも5000万円稼いでいる現実を目の当たりにしたことが最大の収穫だ。
ネットビジネスで試行するカギは、技術力でも情報力でも販売力でもない。
俺はそれを痛いほど感じていた。
以前にも書いたが、ネットビジネスで楽しいのは売り出しの日だ。
1日に数万、数十万が入る。
しかし売り出しの日以外は地味な作業ばかりだ。
何も売れない日もある。
開業当初にくらべ、商材が売れない。
メルマガ購読者や問い合わせの件数は増えているのに売れない。
スランプだ。
そうするとモチベーションまで下がってくる。
幸い、俺には抱えているコンサル生がいるから、投げ出すわけにはいかない。
でも、これが、起業したてで、ひとつも売れていない2か月目だったら、たいていの人は投げ出してしまうだろう。
売れなければ、面白くもなんともない商売だ。
1か月前、俺はメールスタンド会社が主催する無料セミナーに参加した。
そこにはネットビジネスで稼ぎたいと考えているやつらが来ていた。
講師は言った。
「成功するかどうかは行動するかしないかにかかっています」
その通りだ。
この連中は見るからにダメそうなやつらばかりだが、セミナーに来ているから一応は行動している。
講師はさらに言った。
「今日参加してくれた人への特典として、無料レポートを送ってくれたら、当社の無料の広告枠で紹介します」
すげぇ。この会社の広告なら10万件以上のアフィリエイターが見る計算だ。
金額にしたら数十万円の価値がある。
講師はつづけた。
「経験から言うと、レポートを送ってくるのは10人に1人です。9割の人は行動しない」
そんなバカな。こんなおいしい話に飛びつかないやつがいるか?
「それでは、現在行動していることを隣の席の人とシェアしてください」
このセミナーは15分ごとに参加者同士で話し合わされるものだった。
めんどくせぇ。
確かに参加者の9割の連中は話すのさえもムダに思える。
1人だけ、マトモそうな若い子がいたので、その子と話すことにした。
ネットビジネスを始めて、いろいろなセミナーやグループ、合宿にまで参加したそうだ。
しかし、リストはゼロ、売上げもゼロ。
俺は正直に初日から20万円売り上げたことを話したら、「コンサルを受けたい」と言ってきたのでLINEを交換した。
その後連絡を取り合ったが、彼にはコンサルフィーを払える余裕がなかったので、時々お互いの近況報告をする間柄になった。
俺がスランプに苦しみながらも、黙々と作業していると、久しぶりにその子からLINEが来た。
「僕、ネットビジネスはあきらめることにしました。バイトを頑張ります。」
「そうだね。その方がいいかもしれないよ。バイトがんばれ。」
ネットビジネスはパソコン1台あれば誰でも出来る。それは真実だ。
だが、ネットビジネスで稼げるようになるには行動あるのみだ。
セミナー講師の言う通りだな。
俺はセミナーの翌日には無料レポートを送った。
LINEの子にそれを伝えたら、「自分はネタがないからもう少し勉強してから送ります」と書いてきた。
9割の人間は行動しない。
セミナー講師の言うことは当たっている。
ただし、半分だけ。
行動しただけでは半分にしかならない。
正しいやり方で、行動し続けないとダメなんだ。
俺はスランプだが挫折はしない。
しかし今の俺のやり方のままではダメだ。
それを正していく必要がある。
砂漠に水を撒いているような状況だが、とりあえず、撒きつづけてみようと思う。