中国人の商売の極意
中国人の友人ワンちゃんとは、裏稼業の誘いを断った後も友情が続いている。
昨日もワンちゃんの店に行って、タダでマッサージをしてもらいながらいろいろな話をした。
最近の俺は悩んでいる。
ネットビジネスの売り上げは絶好調なのだが、イタ客が多く来るようになったのだ。
イタ客とはイタリア人の客ではなく、痛い客、つまり困ったお客様だ。
ネットで商売する以上、シャバよりもおかしなヤツが多いのは承知している。
イカれた野郎でも商材を買ってくれたり、コンサルを受けてくれたりする以上はお客様だ。
出来る限りのことはする。
が、どうしようもない場合もある。
学習障害と思しき人が来た。
読解力がゼロに等しい。
教材に書いてあることをまったく理解できないし、メールで一つずつ指示してもまったくトンチンカンな返事が返ってくる。
これには参った。
ご本人に自覚はないようで、肉体労働についていて、日常生活に支障はないようだ。
ネットビジネスをする以上、文章理解力やライティングは必須だ。
高度である必要はない、中学生レベルがあれば申し分ない。
ホメて、ホメて、ホメて、ホメまくって指導していたが、まったく改善されないので、「出来ていない」とハッキリと言ったら怒って辞めてしまった。
しかし、ナイーブ(←日本語ではなく、フランス語のほうの意味で)な俺はメンタルをやられた。
我ながら、乙女チックで情けない。
しかし、コンサル生には全員、成果を上げさせたいじゃないか。
グチる俺にワンちゃんは笑いながら言った。
「ソレ、頭オカシイの人ダヨ。辞めてヨカッタね。」
ワンちゃんの言うとおりだ。
頭痛のタネが自分から辞めてくれたワケだから、ラッキーと考えるべきだ。
「億男、まじめスギルヨ。ソレ、だめね。商売ダヨ?考えたらダメ。頭オカシイヤツには、ハイ、ソウデスカー!スゴイデスネ!ガンバッテ!って言っとけばイインダヨ」
外国へ来て、イヤな思いをいっぱいしたであろうワンちゃんの知恵なんだろうな。
「俺はサラリーマンだったから、ワンちゃんと違って客商売に慣れてないんだよな」
サラリーマンは、会社に守られているし、上司と同僚と取引先と会う人間も限られている。
学歴やステイタスで足切りされているから、自分と毛色の違う人間にお目にかかることはそう多くはない。
未知の人種にショックを受けている、ふがいなく、情けない俺。
「ソウダヨ!変な客イッパイ来るね。マッサージお客でクサイ人、一番コマル!」
「え?クサイ奴?それはいやだなぁ。風呂に入っていないとか?」
「違ウヨ!拭いてナイヨ!オシリの周りからニオイする。息デキナイ!!」
「え?それはその。。。まさか、ウン。。。k?」
「ソウダヨ。でも、ガマンするしかない。仕事ダカラ!」
ええええええええええ?????
マジか?????
シリの周りに拭き残しをつけた客!!!
潔癖症の俺なら、その場でリバース間違いなしだ。
学習障害の客くらいでめげてる場合じゃないぞ。
ワンちゃんは俺の肩を掴んだ。
ホモではない。
アジアの男は距離が近い。
スキンシップもしてくる。
「億男、商売ダヨ!考えたらダメ。」
ウンの話が強烈すぎて、ワンちゃんがしてくれた客商売に関するいろいろなアドバイスは忘れてしまった。
しかし、今後どんなイタ客が来ても、尻の周りにウンをつけた客に比べれば、なんてことはない。
いい話をありがとう、ワンちゃん。